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+はじめに +旅のポイント +旅のルート +アテネの夜明け +アクロポリス・パルテノン神殿 +国立考古学博物館/スニオン〜ポセイドン神殿 +アテネ〜現代のアゴラ・古代のアゴラ +カランバカへの列車の旅 +メテオラ〜ギリシャ正教修道院 +世界のへそデルフィ・雨 +


 はじめに



 零から、一へ。
 復活の、扉が開く。







 そのときの私は、おそらくただ、より具体的な「リセット」を体感したかったのだと思う。
 世紀が生まれ変わって、ひょっとしたら世界も生まれ変わるのかもしれないという予感の中で。
 光を見るためにわざわざ暗がりに身を置いたり、風に焦がれるためにわざわざ枷で心を縛ったり、そんな遊びは多分、もはや旧世紀のこと。
 風のゆくえを見つけて、地上と空を駆け巡る。そのために手足と魂を、この暗くあたたかな沼地から解き放つ。
 死んで生まれ変わるほどの革命も、はじめはひっそりと、ゆっくりと、首をもたげるものだ。
 むず痒いような焦燥は、今、ここで脱ぎ捨てるべきだと思った。さもなければ、朽ちてしまう。
 





 空想は、現実への扉。
 叶えるならば、一歩を踏み出せばいい。
 ただ、それだけ。












 時空間を貫く螺旋を追いかける。新月から満月へ、満月から新月へとさかのぼり、生まれる。
 空想と現実とを結ぶためには最も手っ取り早い天体、月のリズム。その波動に合わせた。
 2001年4月8日、満月の日に旅立ち、24日、新月の日に帰国。あわせて、22日間。
 旅のみちゆきは、塔から土へ、土から水へ向かうことを意識した。さかのぼる、のだから。
 塔とはすなわち「高い場所」、ギリシア正教の聖地、メテオラだ。土とは「平地」、育まれた場所、ポリス。そして水とは、いのちの故郷、エーゲ海。キクラデス文明から、さらに南へ進み、クレタ文明へ。

 私のギリシアへの最初の旅は、あくまで不確かで、やわらかくて、流動的で、それでいてせき立て、駆り立てるような夢幻に包まれた、内側からの衝動、空想の翼から始まった。
 そんな旅にすっかり慣れた魂の目にしてみれば、今、あくまで確かな現実の中での肉体の旅も、幻想の座標軸を駆け巡る、ひとつの「ものがたり」として映る。

 私の内側と、外側と。触れる世界としまう世界と。肉体と、心と。時折反目し、否定しあうふたつの世界を結びつけ、双方向から刺激し、浄化し、互いをより豊かな満ち足りたものにするための手段。
 それが、私にとっての、「旅」だ。

 それは、すなわち、「生きる」こと。

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